愛知学院大学 禅研究所 禅について

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禅の実践

坐禅の作法

  1. 一、両手の基本
  2. 二、入 堂(にゅうどう)
  3. 三、問 訊(もんじん)
  4. 四、上 牀(じょうしょう)
  5. 五、坐 法
  6. 六、坐る準備
  7. 七、調 身
  8. 八、調 息
  9. 九、調 心
  10. 十、検単と面壁
  11. 十一、警 策(きょうさく)
  12. 十二、下 牀(あしょう)
  13. 十三、経 行(きんひん)
  14. 十四、放禅出堂(ほうぜんしゅつどう)

一、両手の基本

両手の基本1

叉手(しゃしゅ)

親指を中にして左手を軽く握り、みぞおちの部分に当てます。次に、その握り拳を右手で覆います。そして、両腕がからだの前で一直線になるように、両ひじを腋の下から離します。この姿勢を叉手と呼び、歩く時の手の作法です。

両手の基本2

合掌(がっしょう)

両手の指を伸ばして、手のひらを合わせます。その時、指の先が自分の鼻の高さにくるように揃え、両ひじを腋の下から離します。この姿勢を合掌と呼び、相手に敬意を表わすための作法です。

二、入 堂(にゅうどう)

入堂(にゅうどう)1

坐禅堂の前門から中に入ります。その時、前門の左側の柱寄りに、左足から中に入ります

入堂(にゅうどう)2

入堂後、数歩歩いて立ち止まり、坐禅堂中央の聖僧(文殊菩薩)に向かって軽く頭を下げて礼拝します。その後、聖僧の脇(または後ろ)を通って坐る場所に向かいます。この時、聖僧の前を横切らないようにします。

三、問 訊(もんじん)

問訊(もんじん)1

好みの坐席(単)を選び、その前に立ちます。自分の坐る単に向かって合掌して一礼して下さい。これは自分の両側に坐る人々へのご挨拶で、隣位問訊と呼びます。

問訊(もんじん)2

次に、時計回りに反対側に向きを変え、再び合掌して一礼します。これは坐禅堂の反対側に坐る人々へのご挨拶で、対座問訊と呼びます。

四、上 牀(じょうしょう)

上牀(じょうしょう)1

両手でからだをささえ、滑るようにして単に上ってください。その際に、単の端の木の部分には、できるだけ足やお尻が触れないように気をつけてください。この部分は牀縁と言呼ばれ、食事の時にテーブルとして用いられるところです。

上牀(じょうしょう)2

単の上から前かがみになって、スリッパを単の下の丸瓦の上に揃えて置いてください。

五、坐 法

坐法1

結跏趺坐(けっかふざ)

丸い蒲団(坐蒲)の前半分程のところに腰を下ろします。その後、右足を左の腿(もも)の上に乗せます。その時、からだは坐蒲の上のお尻と、畳の上の両膝の3点で支えられるように調節してください。

坐法2

半跏趺坐(はんかふざ)

結跏趺坐と同じように、坐蒲の上に腰を下ろします。その後、足の裏を坐蒲につけるような気持ちで片方の足を曲げ、その腿の上に反対側の足を乗せます。この坐法は結跏趺坐よりも簡易なものですが、正式な坐法の一つです。

六、坐る準備

坐る準備1

坐る準備2

左右揺身(さゆうようしん)

からだを2、3回、大きく左右に揺すった後、揺れを少しずつ小さくしていきます。そして、最後に揺れが止まった姿勢で、からだの中心軸が定まります。

法界定印

右の手を上向きにして、下腹部に近い足の上に置きます。次に、右手の指の上に左手の指を置き、両方の親指の先を軽く触れ合わせます。その時に、手のひらの中に卵が置かれているつもりで、両手を軽く湾曲させてください。この手の形を法界定印(ほっかいじょういん)と呼び、坐禅の時の手の作法です。

七、調 身

調身1

足を組み、両手で法界定印を結んだら、肩の力を抜き、背骨を伸ばします。その時に、お尻を軽く後ろに突き出し、へその下を若干前に出すようにすると、背筋が自然にまっすぐ伸びるようになります。次いで、あごを軽く引き、上方から頭が引き上げられているようなつもりで、首を伸ばします。 坐禅を行っている間、両方の目は決して閉じないでください。目を開けたままで、視線を約45度下に向け、自分の約1メートル前方の床を見据えます。そうすることで、両目は自然に半分開いた状態になるはずです。この状態を半眼(はんがん)と言います。

八、調 息

調息1

坐禅の姿勢が整ったならば、鼻から深く息を吸い、これをゆっくりと口から吐き出します。これを欠気一息(かんきいっそく)と呼びます。それを数回行った後に、坐禅中は口を閉じて、鼻から自然な呼吸を行います。その際に、舌を上あごに押し付けて、口の内部に隙間を残さないようにします。

九、調 心

坐禅は、何らかの対象に意識を集中させたり、瞑想したりすることではありません。また、無念無想の境地を目指して、頭の中にある様々な考えや思いを無理やり消し去ろうとしたり、それらから逃れようとする必要もありません。もしもいろいろな思いが心に浮かんでくる場合には、それらにとらわれたり、それらを追いかけたりしなければ、それで十分です。大切なことは、意識が散漫になったり、眠気を催しそうになった時に、それを直ちに立て直そうと努めることです。

十、検単と面壁

坐禅堂に先に入った人は、壁を背にして坐り、参加者が揃うのを待ちます。最後に坐禅堂に入った堂長(指導者)は、聖僧前にて礼拝を行った後、堂内を一巡して参加者の確認を行います。これを検単といいます。堂長が自分の前を通り過ぎる時には、合掌で迎えてください。検単が終わると、坐禅の開始を表す鐘が鳴らされます。この鐘の音を合図に、全員、壁に向かって坐り直します。

十一、警 策(きょうさく)

警策1

警策2

坐禅の姿勢が整ったならば、鼻から深く息を吸い、これをゆっくりと口から吐き出します。これを欠気一息(かんきいっそく)と呼びます。それを数回行った後に、坐禅中は口を閉じて、鼻から自然な呼吸を行います。その際に、舌を上あごに押し付けて、口の内部に隙間を残さないようにします。

直堂が背後から警策を右肩に軽く当てたら、合掌して一礼します。次に、合掌のまま、首を左に傾け、身体全体を軽く前に倒してください。警策が入れられた後には、再び首と身体をまっすぐに起こし、合掌して一礼します。その後、手を法界定印に戻して坐禅を続けてください。

十二、下 牀(あしょう)

下牀(あしょう1

坐禅の終了を告げる鐘が鳴ったら、合掌して一礼します。その後、両手を上に向けてひざの上に置き、身体を左右に揺すります。揺れを少しずつ大きくしていき、身体をほぐしてください。次に、足をほどき、坐禅堂の中央に向き直ります。足を前に投げ出すようにして、単から下りてください。この時、急ぐ必要はありません。足がしびれている時には、足のしびれが十分にとれてから下りてください。

下牀(あしょう2

単から下りたら、坐蒲を縦にして上から押さえつけ、ぺちゃんこにつぶれた形を元の丸い形にもどしてください。その後、自分の坐っていた単に向かって合掌して一礼(隣位問訊)します。次いで、時計回りに反対側に向きを変え、坐禅堂の対面に向かって合掌、一礼(対座問訊)します。

十三、経 行(きんひん)

経行(きんひん)1

経行(きんひん)2

坐禅を長時間続ける場合、途中で堂内をゆっくりと歩く経行を10分から15分間行います。まず、単から降りたら左側に向きを変え、隣の人の後ろに列を作って並びます。上半身は坐禅の姿勢を保ったまま、手は叉手の形に改めてください。

右足から一歩を踏み出し、足の甲の長さの半分だけ前進します。次に左足を前に出して半歩進みます。このようにして、一呼吸ごとにゆっくりと、左右の足を半歩ずつ前に進めてください。これを一息半歩(いっそくはんぽ)といいます。経行の終了を告げる鐘が鳴ったら、その場で足をそろえて立ち止まり、叉手のまま一礼します。その後、前の人に続いて普通の速さで歩いて自分の単の前まで戻ります。自分の単のところに戻ったら、坐禅の始まりの時と同じ作法で単に上り、壁に向かって坐禅を続けます。

十四、放禅出堂(ほうぜんしゅつどう)

放禅出堂(ほうぜんしゅつどう)

坐禅が終了した後、最初に堂頭が坐禅堂から退出します。その後、他の参加者は、坐禅堂の前門から最も近い場所に坐っていた人を先頭に、一列になって単に沿って進み、聖僧の左側を通って、前門から退出します。
行列の最後尾が自分の前に来るまで、自分の単の前で叉手の状態でお待ちください。そして、自分の隣に坐っていた人が自分の前を通過したら、行列の末尾に続いて退出します。その際に、前門の所では向かって右側の柱寄りに、右足から外に出ます。

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