愛知学院大学 禅研究所

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参禅会体験記  平成09年

本研究所では、毎月第2火曜日午後4時30分から火曜参禅会を開催しています。
本学の教職員や学生ばかりでなく、学外の方や外国の方も参禅に来られます。経験の有無にかかわらず、関心のある方は、お気軽に禅研究所までお尋ねください。
以下に、参禅会員の体験記を紹介します。

参禅会員花井 充行

参禅会について

 仏教を、また禅を学んで日の浅い私には、参禅について語る資格はありませんが、私なりの考えを申し上げれば、参禅とは「自己をみつめること」だと思います。
 私たちは日頃、自分の事は自分が一番よく知っているとか、俺が、私が、自分がと声を強めて主張しています。声を強めて主張する俺・自分・私をどれだけ知っているでしょうか。私達が今、この世に存在するこの事実、これは何によるのでしょう。私達が当り前、当然と考えている事が、本当に当り前であり当然でしょうか。
 このように少し視点を変えて考えてみただけで、今まで当り前、当然と考えていた事がわからなくなります。よく坐禅は精神修養と間違えられますが、単なる精神修養ならば、私達日本人の多くが優れた国、先進国と認める国の人々が、国を離れて日本に参禅にきたり、また出家しなくても自分の国で出来るはずです。国を離れてまで求めようとする禅とはー体なんでしょうか。禅とは「真実の自己とは」を考えることであり「自己に目覚めて生きる」ことだと思います。
 それ故に、禅は決して禅憎・出家者だけのものではなく、総ての人に門が開かれ、誰れでもが何処からでも入ることが出来るために無門関ともいわれています。とはいえ禅寺の山門をくぐるのは容易ではありません。しかし本学は幸い厳めしい山門はなく、道元禅師の教えを奉ずる大学です。
 全国に例のない立派な禅堂に坐ると、鳥の声、木のそよぐ幽かな音のみで、まるで深山幽谷の寂静の世界にいる感じです。
 先にも述べたように、坐禅は精神修養ではありませんが、坐禅をはじめたことによって日常生活の上で様々な効用が現われたとも聞き、また坐禅が脳波に大きく影響を与える事も証明され、勉強に打ち込めるようになった、記憶力・理解力がよくなったなどの声も聞いています。是非一度禅研究所の参禅会に参加してみて下さい。正しい坐禅を懇切に指導して頂け、あなだが必ず変身します。
 「夫れ坐禅は直に人をして心地を開明し、本分に安住せしむ」〈坐禅用心記〉
 「坐禅は考えることではない。理窟ではない。…………身をもつて実際にやることである」
 〈沢木興道老師〉
 合掌
 (本学大学院研究生)

参禅会員高村 伸子

坐禅に参加して

 人事異動により禅研究所に参りましてから1年近く経った2月14日に、やっと念願(?)叶って坐禅に参加することができました。4月当初からその気にはなってはいましたが、当日になると来客の応対や雑事にアタフタして、毎月見送ってしまいました。
 その日、まだ寒さも厳しい真っ只中、禅堂の屋根や庭には残雪が凍りつき、坐禅をくむにはちょうど相応しい雰囲気でした。先ず身支度をして線香の香ばしい堂内へと、そこの敷居が何か煩悩の俗世と神聖な禅の世界との境目のように思われ緊張しながら叉手をして廊下を歩くうち、次第に気持ちが静まってきました。
 初歩から指導して頂き、なんとか結跏趺坐をして止静により坐禅に入りました。直ぐに何処ででも居眠り上手な私、心配の外、目はしっかりと開いておりましたが、頭の中では「今晩のおかずは何にしようかな、帰りの道は渋滞しているかな」と、その他いろんな自分の生活が断片的に浮かんできてしまい、以前坐禅中は無心でと聞いていたような覚えがあり、そうなろうと努力しましたが、どうも無駄な試みのようでした。
 後でその時は何を考えていたら良いのかとお尋ねしましたら、頭の中を真っ白にするのは無理で、思い浮かんだことをいつまでもとどめず、一瞬一瞬断ち切っていけば良いと言われて安堵したものの、また意識すると返ってぎこちなく難しいものです。
 次第に足先が冷えてきて少しでも温もりを探そうと足指をモゾモゾさせていると、静けさの中、ヒタヒタと直堂の方が回って来られる足音が近付く度に、警策が肩にピシッーとくるような不安と、きてほしいような期待感で何故か不思議な気持ちになりました。
 所長老師の法話に耳を傾けているととてもありがたく、日々忙しい中、反省すべきことが多々ある故、心の中が清浄にされていくようでした。
 放禅鐘が鳴り、退堂すると外は真っ白、深々と降り始めた雪が、人の道はゆったりとした自然の中でこのように白く清らかで、ただひたむきな気持ちで歩めと暗示しているように思われました。坐禅をくむことによりほんの少しだけ禅にふれてみて感じたことですが、もっともっと禅の奥深さ、すばらしさがあることでしょう。又、次回の参禅会を心待ちにしております。
 (本所職員)

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