愛知学院大学 禅研究所

愛知学院大学 禅研究所

参禅会体験記  平成15年

本研究所では、毎月第2火曜日午後4時30分から火曜参禅会を開催しています。
本学の教職員や学生ばかりでなく、学外の方や外国の方も参禅に来られます。経験の有無にかかわらず、関心のある方は、お気軽に禅研究所までお尋ねください。
以下に、参禅会員の体験記を紹介します。

サム・D・モリー

一年間の参禅を振り返って

 ベルリンから岡崎へ来て以来、私は2年近くもの間、坐禅堂を訪れる機会がありませんでした。そのため、愛知学院大学の坐禅堂を訪れた時には、まるで懐かしいふるさとへ帰ってきたような気持ちになりました。
 もちろん、坐禅の細かい作法は、私がドイツで慣れ親しんでいたものとは異なりました。けれども、その基本は同じです。ドイツでも、私たちは礼拝(問尋)をし、足を組んで坐り、歩行禅(経行)を行い(ただし、ドイツでの経行は5倍から10倍のスピードです)、坐禅の後に法話(提唱)があり、読経をして(もちろんドイツ語か、時には韓国語で)、嗚らし物が響き渡ります。
 外国人には、参禅会に絶対に参加しなければならないという義務はありません。ですから、坐禅に何か特別なことを期待しない限り、坐禅は難しいものではありません。また、作法を間違えたらどうしようという心配をする必要もありません。失敗したところで、どうということはないのですから。いずれにしても、そのようなことはどうでもいいことです。人間ならば、誰にだって間違えることはあるのです。
 私はいつも、愛知学院大学の坐禅堂で聞く鐘の音を、特に楽しみにしていました。その後で聞く鳥のさえずりや木々のざわめき、それに、坐禅の後には一層すがすがしく感じられる風の香りも参禅会の楽しみでした。どうも、ありがとう。
 もしも、皆さんがヨーロッパヘ来られることがあれば、ベルリンやケルンにある私たちの禅センターヘ是非お立ち寄りください。お待ちしています。  (編集部より−モリー氏は岡崎市にある国立研究機構所属の化学研究者でしたが、参禅会に出席するために、約1年間、毎月愛知学院大学まで通われました。同氏は昨年12月にドイツヘ帰国されましたが、その大変美しい坐相が印象的でした。なお、原文は英語ですが、編集部にて翻訳しました。)

山内 早苗

火曜参禅に感謝

 私は愛知学院大学に入学した当初、禅に全く興味はなかったが、いつのまにか火曜参禅会に参加するようになり、卒業した今でも、時間が取れれば参加している。
 初めて坐禅堂に向かった時、私は毎日毎日がとても苦しくて、それから何とか逃れたかった。坐禅をする事で何か自分の状況が変わるかもしれない、何か救いが得られるかもしれない、と思った。
 あれから数年たった今、坐禅堂に向かう私のココロは少し違ってきた。坐禅をするのが、その結果として「得たい何か」のためではなくなっている。坐禅に何かの効果をほのかに期待しつつ、けれど特に何かの効果など得られなくとも私は今年も坐禅堂に向かおうとしている。
 坐禅堂の中ではいつも同じ匂いがする。そして静まりきったそこは空気も静止しているかのように感じる。坐禅をしている時の、その時間は時計が刻むいつものものとは異なったものに思え、その中で私は自分が何者であってもよくなる。大きくも小さくもなく、何か社会的な役割を担う者としてでもなく、ただその時間そこにすわり禅をする生き物としてそこに在る事が出来る。
 日常生活の中で感じる不安や不快、悩みは坐禅をしたから消えた、というわけではなかったが、今も私には坐禅が必要だ。坐禅という行為があり、それが出来る場所があり、それをする機会がもうけられている。そして私はそれに参加している。その場所と機会を与えてくださり、心から感謝しています。

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