愛知学院大学 禅研究所 火曜参禅会

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研修旅行レポート

千葉平成22年度 房総半島名刹巡拝

 平成22年度の研修旅行は、9月7日から9日の日程で千葉県を訪れました。参加者は30名でした。

 初日は新幹線で新横浜駅へ向かい、そこからバスに乗り換えて東京湾アクアラインへ。途中、「海ほたる」ではるかに富士山を眺めた後、東京湾を横断し、安房郡の乾坤山日本寺と長谷山延命寺を拝登しました。また、鴨川市の日蓮宗大本山の千光山清澄寺を拝観し、鴨川温泉に宿泊しました。

 二日目は、同じく鴨川市で日蓮宗大本山の小湊山誕生寺を拝観した後、成田市へ向かい、真言宗智山派大本山の成田山新勝寺を参拝しました。その後、当初の計画では市川市の安国山總寧寺を拝登し、日蓮宗大本山の正中山法華経寺を拝観する予定でしたが、台風10号の直撃のため、やむなく断念することになりました。

 本年度の研修旅行では、全体行動を二日目で終了し、三日目は自由参加日程といたしました。同日は、希望者が東京ディズニーランドの観光を楽しみ、思いおもいの時間で帰路につきました。

雲の如く、水の如く堀場 久史

研修旅行 千葉 写真1

〈プロローグ〉
 新学長と新禅研究所長で迎えた新年度。研修旅行の案内が届き、今回は何処へと目を通せば、何と千葉県ではありませんか。連想するのは、ピーナッツ、イワシなど魚介類、千葉ロッテ、成田空港、D国にD海、おっと日蓮聖人を忘れてはいけません。いつも素通りの千葉県、これは是非参加せねば…。〈千葉県にて〉

 九月七日(火)午前7時10分名古屋駅集合、新横浜駅へ。富士山もよく見え、天気もいいし、良い研修になりそうな予感。

 経験豊富そうなガイドさんに迎えられ、バスの人に。「海ほたる」に向かう。展望台からは富士山、横浜、東京羽田方面も一望できたのは良かったが、海は白波、カツラも飛びそうな強風。

 和尚様が復興再建に努めておられる曹洞宗「乾坤山日本寺」着。暑い、暑い。残暑じゃなくて猛暑。高さ30メートルを超す石の大仏さまに、観音さま。汗を吹き拭き鋸山山頂へ。これまた絶景!ただ、最近高所恐怖症になった気がするのです。どなたか宣のたまわく、「高所恐怖症は齢とともにひどくなる」とか(ただし女性は除く)。

 やっと昼食にありつき、昨年二月二一日付中日新聞日曜版に紹介されていた「熟成バウム・のこぎり山」のお土産一山ゲット(帰宅後、カミさんから「せめて三山買ってらっしゃい」の一言)。

 『南総里見八犬伝』しか知らなかった里見氏の菩提寺、曹洞宗「長谷山延命寺」。かつては大刹であった名残りの立派な「ホウ(木邦・魚鼓)」があり、納得。

 続いて日蓮宗「千光山清澄寺」に参拝し、宿へ。添菜に感謝しつつ夕食、睡眠。

 翌八日(水)午前4時30分起床。雲の多い朝焼けのなか、海岸を散歩する。波乗人、釣人も朝が早い。温泉に入り、朝食後、日蓮宗「小湊山誕生寺」へ向かう。個人的にはここが最大の目的地で、日蓮聖人誕生の地。今までに随分魚を釣った私、「鯛の墓」にお参り。すると天罰か、空から雨が。井上陽水ではないが、「傘がない」。近くにコンビニはないし。でも、さすが日蓮聖人ゆかりの地。お土産屋で傘を売っていた。

 房総半島を巡って真言宗智山派「成田山新勝寺」に参拝した頃には、雨は本降り。中山妙宗「正中山法華経寺」に近付いた頃にはもう土砂降り。開かずの踏切にてこずり、なんとか山門着。服はビチョビチョ、靴はグチョグチョ。本堂までさらに一キロとか。鳩首会談の結果、残念ながら撤退と相成った次第。最後の研修地、曹洞宗「安国山總寧寺」はショートカットして、舞浜駅に到着と相成りました。

〈エピローグ〉
 台風10号による豪雨のため、新幹線は遅れに遅れ、ホームは黒山の人だかり。のぞみ指定席がこだま自由席に。何とかその日のうちに帰宅できました。合掌低頭、報恩感謝。風ニモ、夏ノ暑サニモ、雨ニモ、新幹線ノ遅レニモ負ケズ、雲の如く、水の如く良い修行になった研修でした。(雨男(女)はいったい誰だったのでしょう?添乗員?)次回を乞う御期待。

薬師如来に魅せられて千邑 淳子

研修旅行 千葉 写真2

 九月初旬、房総半島の名刹を巡る研修旅行に参加させていただきました。

 一日目に鋸山日本寺(曹洞宗)、延命寺(曹洞宗)、清澄寺(日蓮宗)、二日目に誕生寺(日蓮宗)、成田山新勝寺(真言宗)を訪れ、どちらも観光だけでは堪能できない、研修ならではのひとときをいただきました。

 房総半島へは、新幹線で新横浜に到着後、東京アクアラインを渡って向かいました。途中、車窓から海の眺めを楽しむこともできました。

 最初に訪れた日本寺は、最も印象に残りました。鋸山の南斜面を境内とした広いお寺で、見ごたえも歩きごたえもありました。まだ残暑厳しい中、汗をかきながら石段を登り、翌朝には筋肉痛に襲われるほどに、思わぬパワーを要した参拝でした。それにもかかわらず魅力的だったのは、頂上からの絶景の「地獄のぞき」と、「百尺観音」へと抜ける切り立った岩に囲まれた、小道のひんやりとした空気など、山の自然の清々しかったことです。岩壁に彫られた日本最大の磨崖仏である薬師瑠璃光如来坐像は、手に薬壺を持ち、見上げるほどの高さ。病苦を救うと言われるそのお顔はとても穏やかで、眩しい日射しの中でも、思わずじっと見つめ、拝まずにはいられませんでした。またいつか訪れたい場所となりました。

 次に訪れた延命寺は里見氏と縁のあるお寺です。ご朱印を頂戴したり、裏山にある板石塔婆について丁寧なご説明をいただくことができ、ゆっくりと拝見できたことはとても貴重な体験でした。

 この度、禅研究所研修旅行に参加させていただき、どの研修場所でも様々な新しい知識を得る機会となったことは言うまでもなく、細やかなご配慮のある企画で、大変心地よく過ごさせていただきました。

 企画・実施された関係者の皆様には、心より感謝申し上げますとともに、禅研究所の益々のご発展をお祈り申し上げます。

研修旅行に参加して中村 直美

研修旅行 千葉 写真3

 昨年の台湾研修旅行に続いて、二度目の参加をさせていただくことになりました。千葉県を訪れるのは、十五、十六年前に東京ディズニーランドへ行って以来ですし、今回予定されている名刹や古刹、東京アクアラインの海ほたるも、すべて初めてのところばかりなので、期待で胸が高鳴りました。

 早朝より新幹線に乗り込み、出発です。お天気にも恵まれ、先が楽しみです。途中車窓より富士山を眺め、あっという間に新横浜駅に到着しました。ここからはバスに乗り換えて、東京湾をアクアラインで横断しました。海の中を真っ直ぐに伸びる道はすばらしく、休憩を取った海ほたるからは、遠くに富士山を眺めることが出来ました。

 最初に訪れたのは、今回一番の名所であり難所でもある鋸山日本寺です。磨崖大仏や山頂展望台までの山登りは大変でしたが、地獄覗きと言われるその眺めは絶景でした。皆様の健脚ぶりには頭が下がる思いです。

 次に向かったのは延命寺。房総半島と言えば、子供の頃にテレビで観ていた南総里見八犬伝の人形劇を思い出しますが、その里見氏の菩提寺である延命寺を訪れることができて、とても嬉しく思いました。

 その後、清澄寺を拝観した後、一泊目のお宿へ。お部屋の床の間には、源氏物語絵巻の朧月夜の舞台にちなんでか、源氏物語絵巻の原画が飾られておりました。房総半島の歴史の深さに感心させられました。

 二日目、日蓮聖人御降誕の地とされる誕生寺を参拝し、貴重な文化財も見学させて頂きました。

 成田山新勝寺はその参道も賑やかで、雨の中でしたが、若い人から年配の方まで参拝に訪れる人々で賑わっていました。

 その後訪問する予定だった法華経寺は、あまりのひどい雨の為に途中で引き返すというハプニングに終わってしまいました。少し残念に思います。

 二泊目のホテルは東京ベイ舞浜でした。ホテルすべてがディズニー一色で、心うきうきで翌日が楽しみでした。

 最後にお楽しみのディズニーランドへ。雨も上がり、昨夜のディズニーシー、そしてランドと、夢の国の楽しい一日を過ごさせていただきました。

 事務局の先生方、ご一緒の皆様には大変お世話になり、楽しい三日間を過ごさせていただきました有難うございました。

旅行のおもいでAlbum

千葉

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研修報告Training Report

平成22年度研修旅行
千葉

 本年度の研修旅行は、千葉県を訪れた。同県には奈良・平安時代以来の古刹が多く残されているとともに、日蓮聖人の故郷として、日蓮宗揺籃の地でもある。また、曹洞宗の名刹も点在しており、独自の仏教文化を残している。

 拝登した曹洞宗寺院は、いずれも阿房郡の乾坤山日本寺と長谷山延命寺である。

 乾坤山日本寺は、鋸山の南斜面を寺域とする。神亀2年(725)、聖武天皇の勅願で、行基が開創したという。当初は法相宗寺院として大伽藍を誇り、慈覚大師も来山した。その後、衰亡と復興を繰り返し、天台宗、真言宗を経て、正保四年(1647)、普照によって曹洞宗に改宗された。

 山内各所に石仏群が立ち並んでいるが、天明3年(1783)に完成した磨崖仏の薬師如来は圧巻である。高さ31メートルで、我が国最大の大仏である 。また、昭和41年に完成し百尺観音も素晴らしい。一方、18世紀末に刻まれた千五百羅漢像は、廃仏毀釈と太平洋戦争後の進駐軍の破壊により、今なお修復が続けられている。

 伽藍も昭和14年の火災で全焼し、往時の面影はない。近年建立された本堂の薬師本殿で、住職の藤井元超師から同寺の由来を伺った。

 長谷山延命寺は、『南総里見八犬伝』で知られる里見氏歴代の菩提寺である。永正17年(1520)、四代実尭(さねたか)が吉州梵貞を開山に招いて建立した。かつては七堂伽藍を備え、房州五大刹の一つに数えられたが、関東大震災で全堂宇が倒壊。現在の建物はその後の再建である。住職の昆尚道師の案内で、同寺に伝わる仏具の梆(ほう)と古文書を拝見するとともに、裏山に祀られている正安3年(1301)の銘のある板石塔婆と、里見氏四代から七代の墓塔を見学した。

 この他、今回の研修旅行ではいずれも日蓮宗大本山の小湊山誕生寺と千光山清澄寺、それに「成田さん」の愛称で知られる真言宗智山派大本山の成田山新勝寺を拝観した。

 小湊山誕生寺は建治2年(1276)、日蓮聖人の生誕地に建立されたのが始まりである。当初は日蓮自身によって高光山と名づけられたが、後に山号を改称した。二度の津波で流失した後、現在地に移転。また、宝暦八年(1758)には全山を焼失。現在の祖師堂は、弘化3年(1846)の再建である。かつては関東における不受布施派の拠点の一つであったが、江戸幕府の弾圧の後、受派に転向し、身延山久遠寺の傘下に入ったという。祖師堂、本堂等を拝観し、宝物館を見学した。

 千光山清澄寺は、宝亀2年(771)の開創と伝えられるが、後に慈覚大師によって天台宗となった。天福元年(1233)、幼い日の日蓮聖人がこの山に入り、四年後に同寺で出家。各地で修行の後、建長5年(1253)、朝日に向かって題目を唱え、日蓮宗を開いた地と言われる。江戸時代には真言宗となり、京都醍醐寺三宝院の別院になったが、廃仏毀釈で衰退。昭和24年に日蓮宗になった。本堂を参拝した後、宝物館で同寺の歴史を物語る宝物を見学した。

 成田山新勝寺は天慶3年(940)、平将門の乱の平定を祈願して創建された。本尊の不動明王は、開基の寛朝大僧正が、京都の高尾山神護寺から遷座したものだと伝えられている。中世に衰退したが、十八世紀に再興し、現在の隆盛の基盤が作られた。雨の中の参詣となったが、私達は仁王門から大本堂、釈迦堂、光明堂を経て大塔に至る広大な境内を、思い思いに散策した。

 なお、今回の研修旅行では台風の影響で、二カ寺の拝登、拝観を断念した。残念ではあるが、それ以外では実りの多い研修であった。(文)

研修旅行 千葉 写真4

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