愛知学院大学 禅研究所 禅について

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禅の一言  平成22年度

老梅樹(著・所長 岡島秀隆)

 『禅研だより』の発刊は中祖一誠所長の時に始まり、既に十五回の刊行を重ねてまいりました。専門的な『研究紀要』だけでなく、禅の教えの普及を目指して一般向けの機関紙が必要不可欠であるという発想だったと記憶していますが、今になってみますと実に卓見でありました。

 さて、瑩山禅師の『伝光録』の最初の章の頌古に「一枝秀出(いっししゅうしゅつ)す老梅樹(ろうばいじゅ)、荊棘(けいきょく)、時と与(とも)に築著(ちくじゃく)し来る」というのがあります。「素晴らしい枝ぶりの立派な梅の樹があって、そのごつごつとした枝と枝の荊棘が早春の時節が来るごとに打ち合う様」を唄ったのではないかと思います。梅樹というのは未だ雪華の舞う頃から春の息吹をいち早く感知して若枝を伸ばし始めますが、新しい枝の成長は大変に速く、あっという間に数十センチの長さになります。それが春一番の吹く頃ともなりますと、まるでサーベルを打ち合わせるようにコンカンと暴れまわることがあります。築著とはそういう様子も含むのではないかと想像してみます。この梅の樹枝の打ち合う様を、嫡嫡相承(てきてきそうじょう)され新たに受け継がれていく仏法の命に仮託しているこの偈頌(げじゅ)が気に入っています。

 思えば、梅華は如浄禅師の愛するところでした。その梅華を道元禅師は先師道(如浄道)の表徴と感得されておりましたし、瑩山禅師のこの頌にもその思いが受け継がれているようです。梅華という一つの言葉、ひとつの事物が人人の心を固く繋ぎ合わせ、それぞれの思いを伝えてゆくということは驚くべきことです。私たちもこの機関紙を人の心を繋ぐ無二のアイテムとして継承し育ててゆきたいと思っております。

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