少し前に、このタイトルの映画があった。樹木希林が最後に出演した作品して話題となった。この映画は、主人公がひょんなことから始めた茶道を通じて人生の局面で様々なことに気付き成長していくという内容であった。
「日日是好日」は、『雲門広録』や『碧巌録』に見られる雲門文偃(864-949)のことばである。『碧巌録』次のようにある。
「雲門は説示した「ここまでの十五日間のことはお前に問わないが、これからの十五日間をどうするか一言で言ってみよ」と。自ら代って答えた「毎日が吉日だ」と。」
「十五日」というのは諸説ありますが、夏安居(夏の修行期間)の明ける七月十五日とも、夏安居に入る4月15日とも、あるいは月に二回の布薩の日(戒律を守れたかを点検する日)ともされます。いずれにしても雲門は、修行の度合いに関係なく、毎日が吉日と言っているのです。
しかし、我々は生きている限り、毎日が良い日ということはあり得ません。山あれば谷もあるというのが人生だと思います。よいことが起これば心は弾み、悪いことが起これば暗い気分になってしまうものです。そういう意味では「毎日が吉日」というわけにはゆきませんが、少なくとも心の中で、今日この日は二度とやってこないかけがえのない1日だと考え、一瞬一瞬を無駄にせず、全身全霊を傾けて生きてゆけば、今この瞬間が最善なものになるのではないでしょうか。
前向きに生きることの大切さを教えてくれる言葉であると思います。