愛知学院大学 禅研究所 禅について

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禅書のしおり 平成09年度

鏡島元隆著『道元禅師』(春秋社)

 本書は、道元禅師に関する最近の数多くの研究に対し、著者の長き歳月をかけての模索探求の成果と、冷厳な眼を通しての箴言であり、解決すべき喫緊な課題を、歴史・書誌・思想に分類し、指摘しています。

策一章から第三章までは、道元禅師の思想の根幹について触れられており、宗教者としての道元禅師について、哲人・行の人・詩人の側面から捉えています。

また21世紀に望まれるものは、地球環境にやさしい共生の行としての坐禅であるとの主張は、趣味深い提言かと思われます。

第四章・第五章は、『正法眼蔵』の位置づけと、禅師の俗系及び鎌倉行化に関する問題がとりあげられています。

著者の元駒沢大学総長、鏡島元隆先生は曹洞宗学の泰斗であり、道元禅師研究を畢生の業とされています。

とくに本書は、「弘法救生」の思いからの意欲的研究であり、真の洞門激場のときをまつ願いがこめられており、道元禅師研究の指標とすべき一書といえます。

松原泰道著【修証義に聞く―道元禅の真髄―】(潮文社)

 「生を明らめ死を明らむるは、仏家一大事の因縁なり」という書き出しで始まる『修証義』。同書は、道元禅師の『正法眼蔵』のエッセンスをまとめて、明治時代に編纂された曹洞宗の聖典です。しかし、その内容は、「道元禅のユニークな思想に止まらず、広く仏教思想に連なります」。そこで、「『修証義』をテキストとして、道元禅を中心に仏教思想を学んで行きたい」というのが、本書の目的です。

著者・松原泰道師は、現在「南無の会」会長、仏教伝道協会理事として、仏教や禅の思想の普及に務められています。「仏教思想が死を説くのは、生き方を豊かにするのが目的です」と述べる松原師。本書では、同師が『修証義』の内容を平易な言葉で説明しながら、死ぬこと、そして、「今、ここに」生きることの意味を示しています。

【さとりとは何か】(大法輪閣)

 仏教は「さとりの宗教」と言われるように「さとり」を根本とする宗教です。しかしながら、「さとり」というのは、わかるようでわからない漠然とした概念ではないでしょうか。このテーマに対し、様々な方面・角度から執筆者諸氏により論説されているのが本書です。

本書は、二部で構成され、第一部では「仏教の説くさとり」と題し、「釈尊のさとり」を始め、禅・浄土に至るまで、立場を変えて「さとり」 の色々な捉え方を紹介しています。例えば石井修道氏(駒沢大学教授)は「頓悟」(たちどころにさとりに到る)の語を通して、さとりと修行の関係を取り上げながら「中国禅のさとり」の特色について述べています。

第二部「禅のさとりの言葉」では、「本来無一物」・「平常心是道」・「本証妙修」「身心脱落」・「拈華微笑」などの57にのぼる禅語を、祖師たちの言行などを交えて、比較的平易な言葉で解説しています。

仏教・禅の真髄を理解する上で絶好の入門書といえます。

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